「見合った事業」。必要な人員と必要な予算。

明日から昨年度の決算審査が行われます。昨年一年間の行政活動についてチェックする…議会の果たす大事な機能とも言えますが、「既に『使ってしまったお金のこと』だし」という言い方がなされる場合もあり、今更、そこでチェックをしたところで…という言われ方をする場合もあります。ただ、一つひとつの事業に見合って予算額が妥当であったか、あるいは、事業実施の効果などを評価して、翌年度予算につなげていくことが大事ですね。もちろん、決算審査の場で各議員から指摘された事項がすべて翌年度に取り入れられるものでもありませんが。行政が「聴く耳」を持つかどうかというのは、首長の姿勢にも大いに関係するところがありますが、「できるだけ、議会から出された意見に耳を貸そう努力する」という真面目さを持ち、行政活動が行われているかどうか…そのあたり、問われるような気がしています。議会の中では「たった一人」の意見なのかもしれませんが、その一人と同じ意見を持つ人も市民の中には存在していると考えることができるかどうか、それによって、本当に大きく変わる気がします。行政活動の「質的向上」を考えさせられる今日この頃です。

さて、今日は子ども教育常任委員会がありました。北貝取小学校を約10億かけて大規模改修し、市民活動の場づくりと文化財などの資料を展示する場づくりをする…「恒久活用」としていくための条例設置の提案が行われました。私たちの会派は「新型コロナウイルス感染症の影響は無視できない」と考えており、ここ数年先のことではなく、さらにその先の将来にわたってのことも考えたうえで、「今、設置を急ぐべきではない」という立場で条例に反対しました。

特に、「多摩市立ふるさと資料館」として設置される場については、市内の学校跡地などに点在して収蔵、保管されている文化財類を一カ所に集め、展示していく方向で検討が進められているようですが、足を運んだ方々に魅力を感じてもらえるような展示を常に提供し続けることがどれほど難しいことであるのか…。もちろん、子どもたちの地域学習のために云々…などと思いは様々あり、いろんな構想が思い浮かぶのかもしれませんが、はっきり言って、常設展示をする場所を設置し、そこにより多くの人に足を運んでもらうような工夫を行っていく…相当な努力が必要であって、そのために「人」も必要で、「お金」も必要になると感じています。多摩市の文化財行政は正規職員というよりは、嘱託職員や会計年度職員の方々に支えてもらっている現状にありますが、新たに「ふるさと資料館」なるものを設置するともなれば、そこにどのような人員体制を敷いて臨むのかが問われそうですね。ここ、私が最も気にしているところです。それにしても、これから…それこそ、わざわざ足を運ばずとも「知れる」とか「学べる」環境をつくることが求められている感じもあり、資料のアーカイブ化に力を入れていくほうが良いのではないか?と思っています。もちろん、資料について原物は大事に保管すべきであって、状態を守っていくために必要な環境づくりが重要ですね。

ところが…ここは予算の関係だと思われますが、ふるさと資料館については「人が日常的に出入りしない場所」(つまり純粋倉庫として使う場所のことと思われるが)についてはエアコン機能を設置しないことになっていて、それで本当に良いのか?という点には疑問もわきますね。もちろん、今まで、学校跡地などに詰め込まれており、エアコンなどなくても耐えてきた骨とう品ばかりだと言われればそれまでですが、その扱い自体が「文化財にとってはナンセンス」だったのかもしれませんし。

いずれにせよ、新たな施設を設置するというのは、責任をもってその施設の維持管理を含む運営をし続けるわけですから、「人・カネ」の問題は付き纏うというものです。それにしても、「施設はこれ以上増やせない」と言っていたはずが、結局「施設が増えている」という状態になっていて、例えば図書館についても同様ですが、「施設はこれ以上増やせない」「新たな人も図書館には配置できない」…などなどという理由から、将来を見越して、「今なら間に合う」と行政改革に取り組んでいたはずが、私には今の状況が「未来への投資」という言葉によってベクトルの方向が逆向きになっているような気がしてなりません。

もちろん「未来への投資」を否定するものではありませんが、私にとっての「未来への投資」は「子どもたちの育ちを保障していく」ということで子どもを応援し、支援するために税金を使っていく…ということ。そして、お金をただばら撒くという発想ではなく、子どもたちを支える人材を増やすとか、そういうことにお金を使っていくということなので。

今日も近所の公園は夕焼けチャイムがなってからも子どもたちの声。随分と日暮れは早くなり、冬に向かっていることを太陽の動きからも感じられるようになる「秋の一日」でした。子どもたちが大人になる社会に何を残すことができるのか…「モノ」ではなく「伝えていきたいこと」をもっと大事にしたいと思うのでした。

明日から決算審査。発言時間に限りがあるので、何を質疑しようかとずっと考えています。いくつかに絞ろうと思っているのですが、まだ絞り切れていません。「必要な人員と必要な予算」があり、行政活動が「質」にこだわって行われているか?というのを私は一番気にしています。そうでないと「見合った事業」にはなっていかないと思うので。