「縦割りの壁をなくす」「要望対応型行政を変える」

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午前中に健康福祉常任委員会で「多摩市の国民健康保険について」の学習会があり、委員以外でも参加していいとの呼びかけがあったのでご一緒させていただく。高齢化が進んでいくだけでなく、医療の高度化・・・・ここが赤字を膨らます原因にもつながっている・・・・平成28年度から国民健康保険税を平均では約10%くらい改定(値上げ)するための諮問を検討をはじめるようですが、致し方ないというか、何とも言いようがない台所事情・・・・一体、どうなっていくのだろう?って思います。負担増になるのは辛く、負担増になるのは心苦しく、「嫌だ」という気持ちは誰しもに共通するわけですが、現状を知れば知るほど、どこにその怒りを向けたらいいのかわからなくなるような気分。そして、現在のみならず、自分たちの将来について、ホント・・・不安にしかなりません。

さて、昨日からの引き続きで、全国の同世代の自治体議員のみなさんと一緒に和光市の地域包括ケアシステム’和光版ネウボラ’について学んできました。和光市の地域包括ケアシステムの取組みは有名ですね。ですので、広島や岡山から視察調査にいらしていた議員の方々と一緒に研修をさせていただきました。

「縦割りだと市民に弊害が出る。だから縦割りをなくしていく。」って・・・・頭ではわかっていることなんですが、ここがなかなかうまく行かないのですね。現場では。何のために業務があり、誰のためにやっているのかを考え、どうやればもっとうまく行くのか?って考えれば、簡単に「縦割り解消」に結びつくような気がしますが、ホント・・・難しい。そして、いつまでたっても「縦割り」が是正されていかない状態を見るにつけ、最近思っていることは「きっと、縦割りであるほうが職員がラクチンなんだろうなあ」・・・あえてサボってるとかそういうわけではなく、縦割りにしようという意識もなく、結果的には今までのスタイルのままルーティンに仕事をこなせばいいだけ・・・という意味で。何かを変えるというのはものすごくエネルギーがいることなので、そのエネルギーが出せるかどうか、出そうと思うかどうかが鍵。職場全体の空気感もまた大いに関わるところだと感じます。

和光市の場合は?・・・・私たちに説明を下さった東内さんは名物部長という感じ。いろいろやっていくには抵抗勢力もいるんです・・・っておっしゃっていましたが、それでもやり抜く信念の強さ・・・・上に立つ人が強くないといけないのね・・・って思った次第です。たった2時間ほどの説明を聞いただけで、知った顔はできませんが。そしてまた、「今までのように住民の要望ばかりに対応するような行政ではいくらお金があっても足りないのは当たり前、地域の課題をちゃんと把握して課題を認識して解決する行政にしなければダメ・・・」って強調されていましたね。

そして、実態を把握するために和光市が実施しているのは「記名式調査」。個々人のあるいは個々の世帯の状況を的確に把握するということですね。回答が戻ってこない先をフォローすることが大切だとおっしゃっていました。回答が戻らないところ・・・ここに何らかの課題や問題点が潜んでいる可能性・・・的確につかんで対応ができないといけないというのはそのとおり。個人情報との兼ね合いもあって「記名式」となるとどうかなあと思ったりもしますが、行政がちゃんと還元できるサービスなり業務なりを実施していれば市民はちゃんと答えてくれる・・・というのもまた東内部長さんのお考え。実際に、和光市の市民は記名式アンケートでちゃんと回答をする文化ができているのでしょうね。ある意味、行政への信頼度も高いということ?

あとは・・・「ワンストップサービスにはあまり賛成しない」というのもなるほどって思いました。窓口だけワンストップになっていてもしょうがない・・・ってホント、その通りですね。和光市の場合は、高齢者、障害者、生活困窮、子ども・・相談窓口に力量ある職員を配置しているとのこと。どこの窓口に相談しても、そこで2つ以上の部署にまたがるような問題課題であると判断された場合には、「福祉政策課」につなぎ対応方法が検討され協議されていく仕組みになっているそうです。

話を聞くにつれ、地域包括ケアシステムの仕組みって結局は従来の「お役所文化」をどこまで変えることができるか?にかかっている気がしてきました。役所の縦割りに基づいて、縦割りにされてきた(ならざるを得なかった)地域のさまざまな資源を、どうやってつないでいくか・・・有機的なつながりの必要性が認識できているのであれば、あとは上手くつなげていくのは行政の力量みたいなところ・・・ありそう。なので、先にも書いたように、「縦割りにしよう」としていないけれど無意識に縦割り行政が続いてしまうような文化を変えるところで、ちゃんと責任を持ち旗を振ってくれる人が何よりも重要・・・・。その役割は誰が果たすのかなあ?・・・最終的にはやっぱり「市長」ってことになるのかしら?市長にはさらに本領発揮で奮闘してもらわないといけないですね。