「やりなおし」は認められているか?

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今日から3日間、ご縁があってI-CASの高校生インターンシップの受け入れを行うことにしました。初日の今日は参加してくれる2名の女子も私もとても緊張感たっぷりで終えたような気がします。議員の仕事のことも、そして、それに関わって多摩市のことも少し知ってもらいたいなあと思いながら、活動プログラムを組み立てています。議会活動と政治活動と・・・・両方を経験してもらえる3日間にしていきたいものです。ちなみに今日のプログラムはパルテノン多摩へ話を聞きに行く予定もあったため、合わせて日曜日から開催している多摩市平和展の見学、そしてまた午後は民主党つながりの若手議員の皆さんと府中刑務所の見学をしてまいりました。

府中の刑務所。もちろん初めての見学。ここに高校生の二人も同行できたことは非常に稀有で貴重な経験になったことと思います。もちろん私も。刑務所は日本最大でとても広大で、ひととおり見学するのにも約40分ほどかかりました。刑務所内にある医療棟、受刑者の部屋、そしてまた、実際に受刑者の作業現場なども見せていただきながら、説明を受けてまいりました。当然ながら、刑務所内について写真を撮影をしてはならないわけで、ここでも多くを語ることは難しいと思いますが、受刑者の部屋にはクーラーがなかったため、この暑さでの体調管理にはとても気を遣うような気がしました。全体収容定員は2,668名で、今は2,142名の受刑者が生活をしています。そのうち、59か国、47言語、402名の外国人にも対応しています。菜食主義や豚肉は食べないと言った外国人への対応もしており、あるいは宗教についても祈ることを一部認めるなど、受刑者であってもその人権を無視せずに対応する配慮も行われていました。また、とにかく規律重視、規則正しい生活であり、3回の食事の栄養バランスと管理も万全。「ここで2か月ほどたてば、糖尿病は回復してしまう。」という話でした。

全体的に受刑者の高齢化を感じましたが、最高齢が87歳であること。また高齢になると認知症にならないように対応していくことも必要だとの話も聞きました。単独室もあれば、数名の部屋もありますが、受刑者をどう配置するかについては非常に気を遣っているとのこと。ここでの生活を通じて、更生をしていく・・・府中刑務所では610名の職員が仕事をされているのだそうです。

見学を終えてから、所長さんから、さらに刑務所の取組みなど伺ったのですが「日本社会は犯罪者を出さないことにはとても熱心。しかし、社会復帰した犯罪者に対してはとても冷たい」・・・復帰しにくい社会であることを感じているという話をされていました。これが最も印象に残ったのですが、同行した議員の仲間たちもみな同様に感じたようです。一般的にも、再チャレンジとか、やり直しとか・・・・もう一度気持ちを立て直し取り組もうとする本人が一番辛くて大変なんですよね。そこを理解し、受け止めながら、応援できる社会をつくっていく・・・「誰もに居場所を認められる社会」になるのかもしれませんが、まさに言うは易し。受刑者が社会復帰するということは幾重にも大変であることは想像すればわかります。所長さんは以前、出所者の社会復帰を支援する仕事をなさっていたそうですが、社会の冷たさ、理解の進まなさを感じてきたそうです。刑務所への理解、受刑者への理解の促進が一つの課題であり、「社会に対し、正しい情報を伝えていく」「どうやって社会に情報を与えていくのか」が大切だとおっしゃっていました。私も全く知りませんでしたが、毎年の文化の日には「府中刑務所文化祭」も行い、地域に開き理解してもらう機会もつくっているそうです。受刑者の生活は社会から一定隔離する必要があっても、刑務所そのものの存在は隔離する必要がないということでしょう。でも、まだまだ閉ざされている場所であり、そもそも理解しようにも情報が乏しいのも現状ですね。

 

さて、気になるのはやっぱり再犯率。府中刑務所でも初犯より、何度も犯罪を繰り返している受刑者が圧倒的多数です。なぜなのか?・・・興味深いネットの記事を見つけました。表面だけ理解して、あれこれ語ることはできないくらい深刻と言えば深刻な課題が根ざしている気がします。刑務所で仕事をしている刑務官のメンタルヘルスをどう支えるのかについても課題の一つになっていると伺ってきました。諸外国に比べると、刑務官1人当たりの受刑者人数も多いのが現状。受刑者一人当たりにかかる経費についても日本は諸外国に比べれば格段に低いという話でした。

 

知らないところにまだまだ課題は多いのですね。知らないところと言うより、見えていても、その先、なかなか見ようとしない課題の一つとも言えるのかもしれませんが。ここを見た高校生たちはどんなことを感じたでしょうか?明日以降意見交換してみたいと思います。社会復帰、やり直しは認められているのだろうか?・・・「やり直し」に寛容になれる社会・・・簡単ではないですね。きっと。