行政が「議会」をどう考えているかが見え隠れする話し。

今日は多摩市老人クラブ連合会のみなさんの新年会があり、遠藤めい子健康福祉常任委員長も一緒に出席をさせていただきました。「会員数が減っていることが課題だけれど、でも、明るく前向きに活動していきましょう!」という会長さんの力強い挨拶から始まり、各地区の老人クラブから参加をされていたみなさんとご挨拶をさせていただいたり、あるいはご意見をいただいたりしました。みなさん、とても優しくて…「話しばっかりしていたら、食べ損ねるから…」とわざわざお食事を持ってきてくださる方もおられて、恐縮でした。ありがとうございます。

地区によって老人クラブの活動もその在り方はさまざま。でも、やっぱり「元気でいなくっちゃ!」「健康が第一!娘や息子やらに迷惑は欠けれないでしょう!」っておっしゃる方がいらっしゃり、すごく元気で快活で、そして、もりもりお食事を召し上がっておられるみなさんのお姿を拝見すると、私もなんか「頑張らないと!」なんて気持ちになります。最後は、「一月一日」と「青い山脈」をみんなで合唱しておしまい!明るく晴れやかな気持ちになりました。

市議会では今日は年明け初で視察の受入れ。京都から宇治市議会のみなさんがいらっしゃいました。三階副議長と遠藤ちひろ議会運営委員会委員長が対応してくれました。私は新年会だったこともありますが、その後、京王タクシーの労働組合の旗開きに出席をしてきました。市長と一緒に鏡開きをやらせていただきました。

さて、ここからが本日のタイトル「行政が『議会』をどう考えているかが見え隠れする話し。」の本題です。ということで、ここから長い文章が続きますので、予めご承知おきください。経過を説明するためには一定の長さが必要。あとは記録しておかないと、記憶はあいまいになることも多いので、自分のために書いておきます。

 

実は、急遽、午前中に副市長、教育長とともに教育部長、企画政策部長、担当課長から「学校体育館エアコン整備モデル事業の実施について」について説明を受けました。多摩永山中学校をモデルとして、今年の夏まで(八月の設置を目途)にエアコンを設置し、その効果を検証してみたいというのです。

確かに、昨夏の猛暑を考えても、あるいは防災の拠点という意味からもエアコンの設置の必要性…世論としても高まっているような気がします。この事業を進めることに、真っ向から否定をするという議員はいないと思われます。とは言え、課題は多い。なぜなら、多摩市の体育館はプレハブ構造であって、ハッキリ言って、エアコンをどんなレベルで設置するのかわからないけれど、本当に効果が出るのか?…って話ですね。だから、検証をしたいと言っているのかもしれませんが、しかし…一方で、来年度当初予算でそれ以外の中学校8校のエアコン設置に向けた調査費、そしてまた2校分の設計費用について計上する予定するという説明もありました。とても不思議な事なんですが、基本的にはモデル事業で効果を検証してから、設計に入るはずなんですが、現在進行中の聖ヶ丘中学校や和田中学校の大規模改修についてはモデル校において設置工事が行われていく間に…同時並行的に調査設計、あるいは設計変更が予定されていること。

配布された「学校体育館へのエアコン設置スケジュール」という資料を見れば見るほどに思うのですが、モデル校に置いて無事にエアコンが設置された暁に、ちゃんとその効果が検証されてから…大規模改修をしている2つの学校体育館についての対応がなされるようには見えてこないんですね。これ、あくまでも所感ですけれど…。例えば、大規模改修予定の2つの学校の体育館については、モデル事業の検証の内容をちゃんと反映できるのかどうか?もし、検証内容を反映させようとすると大規模改修工事全体のスケジュールが遅れてしまう可能性はないのか?等ふと疑問がわくのですね。

また、一番肝心なのは、ホントにエアコンをつけて効果があるのか?という点。エアコン設置についてはいろいろ思うこともあり…例えば、その後のランニングコストどうなるの?ということ含めて、考えていかねばならない内容だと思っていますが、特に体育館の構造と断熱のことに目を向けないと、どんなにかエアコンをつけたところで効果がなさそうな気もするのでした。(こちらの記事はとても示唆に富んでいると思っております)。冷房費、暖房費みたいなものをいつか保護者から徴収するようなことにもなりやしないかと…そんな心配までしてしまいます。

教育長は「子どもたちのいのちがかかっている。死亡者が出たら大変だ。」とおっしゃっていて、私もその通りだと思いますし、誰も否定はしないと思っています。そしてまた、「暑くても運動ができる程度にまで冷やせれば」という程度にエアコンの効果を考えているようですが、その程度にするにしても、今の多摩市のプレハブ構造の体育館に一体どれだけ馬力のあるエアコンを設置するのでしょう?RC構造ではないので、なかなか厳しいという話しも聞こえてきます。今回は「断熱」はしないために尚更です。

いずれにせよ、発想としては…どのくらいの効果があるのかも含め、その検証をちゃんと行ってから、次の学校にも設置していこうという気構えと姿勢が表向きには示されているとはいえ、どの程度のエアコンの効果を期待するのか?とか、あるいは環境負荷への問題意識などなど、あとは、くどいようですが大規模改修予定2校の体育館への対応などがどうなっているか、きちんと説明をしてもらわないといけないはずなんですよね…。

(ここでひと息・・・)

(私は市民のために「正しく」いろんなことを運びたい。そしてまたできるだけ、穏やかに、平和にと心がけているんですけれど。)

ということなんですが、ここからが次の課題です。市によれば、東京都の対応も二転三転したりして、なかなか定まらなかったのがここへ来てようやく明らかになりつつある、そこで急いでモデル事業をやりたい…ということで…今後の工程を考えると今週中にでも契約をしなければ間に合わないというのです。そして、「議会を開催する『暇(イトマ)』がないから、専決処分で行う。」というのがスタンス。(ちなみに東京都の補助要綱もまだ示されていないそうですが、そういうのは東京都では「良くある話」ということで、これまた別の意味で問題。)

 

まあ、議会を開かないで市長権限に置いて、専決処分をする。これは地方自治法でも認められていることです。そしてまた、この権限を発動するかどうかは市長が決めることで、議会からとやかくいうことではありません。ただ、個人的には多摩市の議会基本条例で「議長は市長による専決処分が最少限になるよう努めるものとします。 」とあり、それは、なるべく政策決定過程の透明性を図りましょう…ということと、やっぱり二元代表制という地方政治の仕組みをきちんと使いこなしていく意味でも「専決処分」は減らしましょう…やめましょう…ということなんですね。例えば災害の時など、ものすごく緊急性が高い時には話は別だと思いますが、それにしても、私たち多摩市議会では曲がりなりにも「業務継続計画(議会BCP)」を作成したりして、議会機能をしっかりと発揮することをめざしているんです。当然ながら、そのことを市長も把握して下さっているはずで、本来であれば、まずは、「臨時議会を開催してほしい」という打診が来ても良いのでは?と思ったのですね。そうすれば、私としても市長が専決処分することなく対応できるように事を運べたかもしれません。議会基本条例に明記されているような努力をさせてほしかったですね。でも、そもそもそのための努力を求められることもなかった…。

企画政策部長は「『税の還付』のことなど前例でも専決処分でやらせていただいているものがある・・・」とお話しされていましたが、今回のエアコン設置問題というのは、「税の還付」と同等に扱われる課題ではないと思うのです。政策決定過程の透明性を高める(税金をどう使っていくのかを決めること)というのは何にもまして大事なことになっていると思いますが、「税の還付」は政策決定云々とはちょっと次元の違う話題ですからね。今後のことも含め、極めて政策的課題でもあり、慎重に判断されていくべきことでもあり、やはり議会を開き、一定議論をしたほうが良さそう…って議員であれば誰しもそう思うでしょう。でも、鼻からそういうスタンスでなかったところに、残念さがあるのです。

 

議会で議論をするということの意味と意義。それをどう考えるのか?という問題にも関わってきますね。あとから、市民にどう説明をするのか?議会でも一定議論されていなければ、それこそ政策効果を検証するときにも…???…そして、今回の件で言えば、いくら代表者会議で説明はされていたとしても、この決定に関していえば、議会は全く関与しない、蚊帳の外に置かないまま「市民の税金」が執行されていくことになりますね。

 

私は副議長と午前中に話を聞いた場で示された「明らかに専決処分をしたい」という姿勢については疑問を持ちましたが、まずは代表者会議を招集して状況を報告してもらう場の設置を判断しました。まあ、既に行政側は先回りをし、各会派の代表者のところには「専決処分をしたい。」という相談で持ち込まれていたようで「うちの会派は団会議を開いて、本来は臨時議会をやった方がいいと思うけれど、専決処分でもやむを得ないという意見です」って見解をまとめてきた会派もあったので驚きました。また、他の会派の代表も「慎重にやっていく必要があるのではないか」という意見を述べながらも、何となく行政側の姿勢を理解しているようでした。代表者会議の前に、先回りして…根回しをするところに行政職員としての手腕が評価されるのですね…って私、心底そう思いました。

 

改革みらいの大野議員、生活者ネットの向井議員と二人の代表は「臨時議会を開くべき」という意見を主張されていました。ここで議長が「では、臨時議会にしましょう」と言えればいいのですが、まあ、あくまでも議会を招集するのは「市長」なんです。議長は「議会招集請求権」はありますが、議長の権限で招集はできないのです。「法の壁」。そしてまた、今回の件については「予算に関わる話題なので市長が判断すべきこと」なんだそう。最終的には代表者会議では「専決処分でいい」あるいは「臨時議会を開いてほしい」と意見が出ましたが、まとまるわけもなく…そして、まとめる必要もないというのか…。「あとは議長と副議長で市長と話しをしてください。」みたいなことになったのですけれど、「何を話すんだろう?」…と個人的には困惑。

まあ、どっちがどっちなのかもしれず、仮にも、私が今の段階で「議会招集請求権」を発動したところで、もともと「議会を開くイトマがない」という発想から始まって、今日に至っている話なので、「イトマを見出せた」というようなことにはならないはずだけど…と心の中では思っていました。また、既に各会派の代表者は「致し方ない」と考えておられる方もいらっしゃり、代表者会議では「臨時議会を開く必要なし」とおっしゃっていた方もおりましたし、「まずはモデルを進めてみないと、臨時議会を開いたところで質疑をしても、有用な行政答弁は引き出せないのではないか?」という趣旨の意見を述べられた方もおられました。

「議長は専決処分を最小限にとどめるように努める」とする私に課せられた責任があるとは言え、また私も同じ会派の大野議員の主張と同じく「臨時議会を開催すべき」と個人的に考えるわけですが、そもそも市長に臨時議会を開くつもりがないことが明らかなので、「それはそういうスタンス」ということで判断と評価をするしかないな…と。代表者会議を終えてから、私と副議長で話をしましたが、やはり「私たちから専決処分をするかしないかについてとやかく言えるものではない」という話しで一致をし、そのことを副市長に伝えました。市長に伝えたほうがよかったのかもしれませんが、もともと午前中に話をしに来たのも副市長でしたから、副市長に話せばいいという判断をしました。副市長は議会事務局職員の経験もある方なので、話しをしますと本音では「本来は臨時議会を開く方がいいと思っている」ようでした。

まあ、結果的には「臨時議会を開く方がいいと思っていても」そのことを追求しようとはしなかった…というのがこの話の顛末。もし、最初から「どうしても臨時議会が必要」という相談が来ていたならばどうだったでしょう…。おそらく、議会としてはそのような方向で追求したに違いないからです。少なくともそのことを最大限追求したと思います。でも、今回の場合は最初から「専決処分をしたいです」だったということ。

そんなわけで、ツラツラと書きましたけれど、「行政が『議会』をどう考えているかが見え隠れする話し。」とするタイトルをつけたのは、要するに政策決定過程の透明性をどう図るのか?について、「議会」があまり重視されていないような印象を受けたという話しでした。つまり、市長には揺るがない絶大な権限と権力があるということを再認識させられたということです。また、「臨時議会を開かれたら、何か困る理由でもあるのかな?」とおっしゃる方もいらして、なるほど…とも思ったので。質疑されても答弁しにくいことが山ほどあったりすると、市長の「恥」になることもあるかもしれませんしね。

行政は一応、議長副議長、各会派代表者に説明をしたということで「手続きを踏んだ」とし、専決処分にしていくはずですね。まだ、専決処分したという話しはこちらには届いていませんが。こうした一連の流れを、議会としてもどう受け止めていくか…今後の課題になるはずです。そしてまた、きちんと吟味をしないまま、学校体育館のエアコン工事が進んでいくとするならば、これまた「何のため?」「誰のため?」にもなっていくはず。「効かないエアコン」と揶揄されないように取り組んでほしいものです。