次年度予算は全会一致で可決!

予算審議が無事終了。いつもどおりというのか、わが多摩市にとっては当たり前の「全会一致」という結果でした。「総論賛成各論反対」ということで、「概ね良し」と理解しています。

そもそも予算が否決されることがあっては大変です。4月1日から行政の活動がピタっと止まるということにもなりますから。もちろん、その場合、「暫定予算」ということとなり、特に社会保障関係の経費などは支出できるようにして予算が再調製されることにはなるのですが。

個人的にはどうかと言われれば、「概ね良」とするという判断になるだろうなと思います。

ところで、来週に開催される委員会もいろいろと深まる議論が展開されるといいなと思っておりますが、特に健康福祉常任委員会で議論がなされる予定の「受動喫煙防止用例の制定」については、注目しておきたいと思います。それについて一言。

今回の予算審議でも「受動喫煙防止」に関連した予算については、厳しいやりとりというか意見も出されていましたが、しかし、議員は誰一人「受動喫煙防止」には反対していませんので、条例の制定には反対であっても、関連して計上されている啓発活動などへの予算に反対する人はいませんね。むしろ、大いにやるべきだから。むしろ啓発活動もやってほしいですが、多摩市が本気で「たばこと健康」のことを考えるのであれば、禁煙教育や禁煙治療などの推進にももっと本腰を入れてほしいと私は思います。

そのこと前提にしつつ、やっぱり受動喫煙防止条例をどのような内容にしていくかについて、もう少し慎重に議論すべきとする主張には頷ける部分があります。ですので、委員会ではおそらく「合法的に認められている喫煙」をどう考えるか?について議論されていくのかなと思っていますが、十分に論議を深めてほしいと考えています。今は、「喫煙する権利」以上に健康被害が語られるわけですし、それは世界標準で当たり前のことです。受動喫煙防止に行政が乗り出していく必要もあるでしょう。ただし、「ただし」という部分があるのです。

多摩市には「自治基本条例」があります。自治条例の根幹にある自治の精神というのは「多様性を認めていく」「個人の自由を最大限尊重し合う」ということだと思っています。「個人の自由」というのは、相手への思いやり、そしてまた他者への迷惑も考える、危害を加えないという意味での‘自由’であって、「自分さえよければいい」という自分勝手な自由とは全く異なる大げさですが‘尊い’ものなのです。なので、私は、「自分さえよければいい」とタバコの煙をまき散らすような環境は改善すべきと思っていますが、公権力で「喫煙する権利」を制限していくようなことは最後の手段であり、最小限に留めることが望ましいと考えています。

「よりよき市民社会とは?」を考えるとき、「あれはダメ」「これはダメ」と制限しすぎる、禁止事項ばかり増えるのは、あまり心地のいいものではありません。段々と堅苦しくなっていくというのか、市民社会を萎縮させる方向になりやしないか?と思ったりもするのです。だから、「最後の手段」にしておきたい、どうしてもどうしても何ともならない、どうにもならない、目に余るくらいひどい・・・となって初めて公権力の発動を考えるほうがよいのではないかと思うのです。ちょっとレベルは違いますが「校則」を思い出せばわかりやすいかもしれません。生徒を管理するためには厳しい校則というのは先生にとっては都合のいいものかもしれませんね。ちなみに私、「自主規制」なるもので、自分たち自身で自分たちのルールを作っていくという環境で学校生活を送ってきました。「先生からの管理」とは無縁で「お互いに気を付け合う」が最も大事なこととされていたことを思い出します。先生に管理されないように自分たちで気をつけなくっちゃ!自主性・・・ということです。

話しを戻します。

その意味で、今回の受動喫煙防止条例に対し、自民党・新生会のみなさんの会派が主張していることには非常に重要な視点が含まれていると思っています。奥深いところを問われている気がします。「受動喫煙防止」には取り組むべきであるが、しかし、そのために「喫煙する権利」(合法的に認められているから)に対し、公権力にどこまで制限をかけるか?するのか?ということですね。「喫煙者というマイノリティ」という表現をされていた方もいらっしゃいます。その表現自体、嫌煙家にとっては「何それ?」かもしれませんね。でも、やっぱり、「タバコ禁止」されていないのが私たちの社会なんですよね。ということは、「喫煙者の権利」も一定認め、「受動喫煙を防止するような環境整備」にも努力を重ねて重ねて重ねて、「もうどうにもならない」というふうに行政がお手上げ状態になって、次の手段に踏み出すことがいいのだと思います。

もちろん、歩きたばこなど目に余るなと思うこともありますし、ポイ捨てもいい加減にして欲しい・・・私も嫌煙家の一人としては眉を顰めたくなるような光景に出会うこともあります。でも、それを「取締まりの対象」にし、「市内公園全面禁煙にしなければならないほどのことであるのか?」・・・これは私たち市民社会側にも問われているのだと思います。ちなみに、管理棟があるような公園では喫煙場所は一定確保すると伺っていますが、原則、すべての公園を禁煙にするというのが今回の提案です。「それはちょっとやりすぎではないか?」というのが今回の条例制定に慎重姿勢の方々からの意見。

例えば、子どもたちがにぎやかに遊んでいる公園で、周りのことを気にせず、タバコを吸い散らかすようなことがどのくらい発生しているのでしょう・・・多摩市の喫煙者には配慮がなく、条例で取り締まりの対象にしなければならないほどなのでしょうか?もちろん、「ちょっとどうかな?」と思えるような場所もあるのですが、そこに、ご丁寧に「灰皿」が置いてある場合もあります。

ああ、それにしても長年懸案事項になっている多摩センター駅前の喫煙スポットの問題。なかなか解決できていませんね。検討や協議を重ねていないわけではないとしながらも、あの状態が継続しています。「受動喫煙を言うなら、そっちが先でしょ。何とかしなさいよ。」とおっしゃっていた主張はそのとおりと思えてしまいます。「喫煙マナーの徹底」をもっともっと呼びかけたり、あるいは、「喫煙できる環境づくり」を整えることであったり・・・喫煙者の皆さんに負担してもらっている「たばこ税」の使い方にまで論が及ぶ問題であるとも言えそうです。

健康福祉常任委員会は週明けの火曜日。議会としてどのように議論を進めていくのか、各委員の皆さんの意見、十分に出し合ってほしいと思うのです。これは、単に「受動喫煙防止」の問題だけに留まらない、「よりよい市民社会のつくりかた」という観点からも問われる内容だと私は考えています。

トゲトゲしない人間関係の上に、多摩市での私たちの暮らし、営みが成り立っていくことがいいですよね。きっと。