「見極める」ということ。

今日、ポストに選挙公報が投函されていました。なかなか難しい選挙戦ですね。昨日、拓殖大学に招いてくださった丹羽准教授が「政治家を見極める」という話をされていました。ここのところワイドショーをにぎやかにしている「××チルドレン」問題に言及してのことです。

私は今回とても気になっていることがあります。それは、「自殺対策」のこと。多摩市のホームページにも情報が掲載されていますが、東京都では10歳代、20歳代、30歳代の死因の第1位は自殺です。こうしたことに心を痛め、語ってくれるような人がいたら、ぜひ演説を聞きにいきたいくらい。南多摩保健所の統計を見てもわかるように、多摩市全体では死因理由の「自殺」は6番目かもしれないけれど、でも年齢階層別にみれば、一目瞭然…やはり若い世代の死因では第1位といえる状況。そして女性よりも男性。「自殺」に関する情報はなかなか得られにくく、こうした統計データで後になってから把握することになりますが、公表された結果を見て、いろんなことが思い浮かび、想像するだけで悲しい現実だと思うのです。

この件について、大田区のおぎの稔議員に問い合わせをしました。彼は自殺対策についてかなり多くの情報を持ち、活動をしているからです。でも、やはり「なかなか日の目を見ない政策」だとおっしゃっていて、いずれの政党の公約(各政党のマニフェスト、政策比較)でもあまり重要視されていないことだけはわかります。

国が力を入れ始め、東京都でもゲートキーパーの育成などにも取り組んできました。おぎの議員に寄れば、「自殺対策基本法施行10年で、中高年以上の世代の自殺率はグッと落ちたけれど、若者だけは自殺の比率が落ちていない。」とのことです。「中高年向きの対策(医療や健康施策、孤立対策、金銭、トラブルの相談強化など)で、若い人に対応しても効果が薄い。」のが実情です。

「自殺予防教育」など学校で展開することにも、なかなか難しいところもあるのか、「教育委員会はやりたがらない」とも聞こえてきます。まあ、直接「自殺」というのではなく、「いじめ防止対策」として力を投入しているのが多摩市教委なのかもしれませんが…。改正自殺対策基本法にある生きる力の支援。SOS,助けを求める力を育てるのは中長期的に意義がある。」というおぎの議員の意見には頷けるものです。精神保健福祉行政の充実はとても大事で、学校教育との連携など進めてほしい。地域の精神保健福祉行政を後押ししていくところに東京都の役割は大きい。それにしても待機児解消問題も大事ですが、今回の選挙公約で「児童虐待」のこともそれほど語られていないのも個人的には残念。児童相談所の置かれている実態や現実…こうしたところにこそ光をもっとあててもらいたいのになと。税金の無駄遣いを語ることは大事なことですが、費用対効果が上がらないけれど、ちゃんと行政が手を差し伸べなければならないところに対する視点で政策論争が行われておらず、「都知事に勝利を与えるかどうか」だけがマスコミ報道で先行しているのもまた残念。

 

 

「誰を応援しているのか?」

とわざわざ電話連絡を頂いたり、街でお会いした方などからも尋ねられるのですが、今回ばかりは私も「なかなか見極めるのが難しいですね」とお返事するので精一杯。ただ、「ムードに流されないで、選ぶことが大事だと思う。」と答えることにしているのは、私自身が「政権交代」の追い風の中で選挙をしてきた経験があるから。その時「大勝したけれど…」しかし今は?…「数を大きくしなければ始まらないけれど、でも頭数だけ揃えたとしても、本当にそれでよかったのかどうか」と振返ることも多いので。「地方議会の役割とは何か?」…その原点を見つめ直し、そ、都民の声がちゃんと届く都議会に変えてくれるような人たちに多数当選してほしいものです。

タウンニュースの取材が来た時、多摩市議会の特長をたずねられ、私は「市民に開かれていて少数の意見も大事にしている」と答えています。「いや、そんなことない」という市民の方もいらっしゃるかもしれません。でも、「数の力」だけで押し切れば良いなどと考えるような議員さんが割合的にはずいぶん少なく…合意形成を大事したいと行動している議員さんが本当に多いです。なぜなら、多摩市議会の場合には、「数の力」で圧倒しようなどと考えても無理なので。それは政党や会派など「圧倒的多数」を占め、「数の力」で何とかできてしまうような議会構成ではないから。その背景があって、少数意見にも耳を傾け、互いの妥協点を見出し、合意形成を大事にする文化も自然と育まれてきたのだと思っています。「数」が圧倒的多数であれば、少数の声に耳を傾けることをしなくなる恐れ、可能性が高くなる。やっぱり、「地方自治は民主主義の学校」であり、議会内では議員どうしで討議を深めるのは当たり前ですが、首長との議員との間でも全うに政策論議が展開されていくようにしなければならないと思っています。「少数派」もある意味大事。社会は多様なので、その多様性をちゃんと議会構成に反映させていくことが重要。それぞれ候補者、あるいは政党の主張に耳を傾けたいですね。首長の言いなりになって動くような議員を増やしても、私がめざす地方自治は実現しないのです。

それにしても「見極める」というのは、これに限らずとも…ホント難しいことです。